ピック作るの結構大変なんです。

[check]1.ピックとアクセサリーは違う

べっ甲のアクセサリーなどは、1枚の原料を削って作るのではなく何枚もの原料を重ねて分厚く(*地合わせや地造りと呼びます。)してまず1枚の分厚い板状にします。そして曲げたり、削ったり、掘ったりしながらあらゆる細工をするのです。
もちろん、削ったり掘ったりという技術もすごいのですが、「地合わせ」「地造り」「万力」というこの原料を張り合わせる工程で作品の仕上がりが決まるといっても過言ではありません。

「地合わせ~万力」は、接着剤を使用せず、表面をきれいに削り、「熱と圧のみ」で接着させます。しかし、ただ単に熱と圧を与えただけではすぐに剥がれたりうまく接着しなかったり・・季節やその日の気温などあらゆる条件で適度な温度や時間を調節して接着させるこの技術がまさに職人芸なのです。
べっ甲 地合わせべっ甲 地合わせべっ甲 地合わせ
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もっと詳しく知りたい方は⇒べっ甲細工

それに対してピックは1枚ものの原料から型抜きし、削り、磨きの工程を経て完成します。
なんだ~簡単じゃないか?
ところが、ピックは薄いので(約1.0mm前後)ただ型抜きし、磨けばいいてもんじゃないのです。



[check]2.べっ甲は反る

薄い板を何枚も重ねた「合板」は、厚みがあるほど反りにくくなります。逆に薄いと湿度や乾燥で反ってしまいます。

タイマイの甲羅は:
タイマイの背中の甲羅は成長に伴って瓦状に重なっていきます。つまりタイマイの甲は木の年齢のように、紙1枚くらいの層が重なり合い、甲の厚みを形成しています。この1枚の厚みは産地によりまちまちで、キューバ産、アフリカ産は厚く、フィリピン、インドネシア産は薄いというのが定説になっています。

これらの1枚1枚の層の中には、コア(水分を通す管)があり、何十枚という厚みの甲があっても共通のコアは決してありません。さらに、タイマイの甲には保温力があり、温めると自由に曲がるという特性があります。この特性はコアのためであることが科学的に証明されています。こうしたことから、タイマイの甲(べっ甲)は、現在までのところ人工では作りえない、複雑な構造であることが証明されています。

出展:一般社団法人 日本べっ甲協会/べっ甲のお話

タイマイの甲羅は丸く、そのままでは加工に向いていません。また上記のように「層」の中の水分を飛ばさなければいけなく、一度万力などで平らにして加工します。

アクセサリーは、この甲羅を何枚も重ねて分厚くしますので、反りに強い構造になりますが、ピックのような薄いものは平らにしても徐々に丸く元の形に戻ろうとします。
特に暑い場所や湿度が多いところ、力が掛かったままの状態にしておくと元の形に復元します。

しかし、作ったばっかりのピックもしばらくすると反ったりするのはこの元の形に復元しようとする力が働くためです。
また、べっ甲は生き物です、野生動物です、人口の産物ではありませんので、個体差があり何度平らにしてもまた反ってしまうこともあります。



[check]3.楽器店のべっ甲ピックが分厚いのは?

あなたは、楽器店でべっ甲ピックを見たことがありますか?
ここ長崎でも、ある楽器店にはべっ甲ピックが売ってあります。そのピックを見て思うことは「分厚いな~」ということ。
厚みは完全に1.5mm以上はあります、ミディアムなんて見たことがありません。

そうです、薄くすると「反る」ためです。

はっきり言って長崎の楽器店にあるべっ甲ピックは、ギターの事なんか何にも知らない職人が作ったピックです。ただ、注文通り原料を型取って、サンダーで厚みを揃えただけ。
1mm程度にすると反って商品にならないため分厚くしているだけです。

当社は、ミディアムも扱っています。
出来る限り反らないよう全て1枚1枚を手作業で作っています。最後の磨く工程でまっ平らにしないようにしながら作っているので薄いピックも作ることができます。(但し、絶対反らないということではありません)