べっ甲ピックは高いよ!?

[check]1.原料がない!

べっ甲ピックが高いのは、原料がないことが一番の理由です。
1973年にアメリカ合衆国のワシントンD.C.で採択され,1975年に発効した野生動植物保護のための国際条約、通称ワシントン条約。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、べっ甲の原料であるタイマイの取引が禁止されました。

タイマイの画像

ワシントン条約で輸入が禁止されたのちも1993年(平成5年)まで輸入していましたが、それ以降は全面禁止され、日本国内のべっ甲業者は廃業の道を歩み始めました。
1983年(昭和58年)には延べ一千人いたとされる鼈甲職人も2004年(平成16年)には69人になってしまいます。「原料が手に入らない、原料が高い、鼈甲には先がない」という理由で廃業を決めた職人は今年も1名増えました。  
現在、生産されているべっ甲細工はもそれまでに輸入された在庫を仕入れて使っています。そして、国内にある原料はほぼ底をついています。   ※画像 Wikipedia



[check]2.べっ甲は部位で値段が違う

ひと口にべっ甲と言っても実は種類があります。
恐らく多くの人がべっ甲と聞いて思い浮かべるのは「黒・茶・黄色のまだら模様」でしょう。もちろん、「べっ甲柄」という名前もついていることからそれを浮かべるのですが、黒いべっ甲(本甲=ほんこう)もあるし、赤いべっ甲(赤鼈甲といいます)、黄色のべっ甲(専門的にツメと呼びます)・・つまり柄の違いで呼び名も変わります。
そしてこの柄の違いは、「甲羅の部位」で変わります。

名称場所特徴グレード
本甲甲羅の大部分 13枚色が黒っぽく、厚みもまばら普通
腹甲亀の腹部分 12枚透明度が高いが、厚みはまちまち
バサツメ甲羅の淵の部分 18枚透明度が高く、厚みもある
本ツメ亀の尻尾部分の甲羅 4枚最も透明度が高く、最も厚い最高

本甲(ほんこう)というのは、背中の甲羅を指します。背中は、常に太陽の光を浴びますので硬く丈夫です。だた、紫外線を浴びてしまうので黒っぽい斑点がでます。また、面積も広くて大きいので原料の中では一番安価で取引されます。

腹甲(はらこう)は、お腹の甲羅です。背中とは逆に太陽の紫外線を浴びる量が少ないため白っぽい色です。大変綺麗な甲羅ですが、厚みはそこまで厚くありません。

バサツメは、甲羅の淵です、本ツメと同じく「ツメ」と呼ばれます。この部位は、淵なので厚みがあります。そして、背中の部分は黒い斑点がありますが、裏はほとんどありません。
この裏を使うと色も綺麗で厚みがある原料なので高値で取引されます。

最後は本ツメ。本ツメは、しっぽ近くの4枚の甲羅を指します。この部位は、一番厚みがあり、高値で取引されます。色も黄色~透明に近く、この部位で作る眼鏡フレームは今だと数百万円します。


[check]3.さらに産地で違う

魚や野菜なども「産地」があるように、タイマイも産地があります。
東南アジアカリブ海が二大産地です。
そして、カリブ海産が東南アジア産より綺麗な甲羅が多いのです。
カリブ海に生息しているタイマイと東南アジアに生息しているタイマイの主食が違うからという説(カリブ海産は海藻、東南アジアは小魚)がありますが、本当のところはよくわかりません。しかし、カリブ海産のタイマイが綺麗なのは事実で、しかも体長も大きいため高値で取引されていました。
「カリブ海産の本ツメ」=「松坂牛のA5ランク」のような感じでしょうか。

ただ、残念ですが「カリブ海産の本ツメ」はもうほとんど現存していないようです。


[check]4.熟練した技術が必要

鼈甲細工は、原料のタイマイを幾重にも重ねて一枚の分厚い板にして加工するのが一般的です。甲羅がいくら厚いといっても2~3cmはありません。しかしかんざしやブローチなどを作ろうとすると(彫刻するため)それくらい厚い材料を使用しなくてはいけません。
その際に原料を数枚重ねて圧縮して一枚の板状にし、加工する技術が発達します。この圧縮技術が熟練工になると水と熱(圧)だけで一枚の板にするのです。そこには、季節やその日の気温、湿度で圧縮時間や温度を調節してみごとに接着させるのです。